
月給6万円と250万円の借金
どこにでもあるようなお話です。
私が新卒で入った関西の大手サロンの、新卒の給料は6万円でした。
1年経っても給料は10万か11万円くらい。美容師時代はひたすら「お客様ハント(客ハント)」をすることを求められていました。新店ができるたびに私は客ハントだけを担当し、ほとんど美容師らしい仕事をしないまま4年間を過ごしました。
給料はずっと12〜13万円のままでした。給料を上げるにはサロンワークをして売上を立てなければいけないのですが、自分がハントしたお客様はすべて新店舗の店長が担当する、というサイクルを繰り返していたせいで、給料を上げることができませんでした。
さらに、年2回ある店販キャンペーンでは、自分でアコムやアイフルで借金をして店販商品を買い、その借金を半年ほどかけて必死に売りさばいて返済しようとするものの、結局売り切れずに少しずつ借金を増やしていく。そんな、美容師としてのキャリアのスタートでした。
朝は7時前に出勤して、レッスンの時間も客ハントに行き、営業が始まったら客ハントに行き、後輩やみんなが夜レッスンをしている間、私はまた客ハントに行く。かなり特殊な美容師時代を過ごしたのです。
結局6年間頑張りましたが、このまま続けていても先が見えない。私は26歳のときに退職し、そこから半年間、ぶらぶらとどうするかを考えていました。
20代前半は会社のために一生懸命頑張る、ということだけで過ごしてきた。何かしら、もっと自己実現がしたい。自己実現するには美容室オーナーになることしか、私の頭の中にはありませんでした。
かといって、ほとんど美容師をしてこない20代前半を過ごしてしまったので、腕にはまったく自信がない。「じゃあ、どうやったら美容室オーナーになれるのか」と考えました。そのとき、ホットペッパービューティーの営業であれば、いろんな美容室オーナーさんへの営業を通じて接点を持てると思い、ホットペッパービューティーの営業に飛び込みました。
リクルートで見た業界
リクルートに入った私は、毎日40件の飛び込み営業を必ずすると決めて、約1年、飛び込みをし続けました。もともと客ハントばかりの美容師時代を過ごしていたので、飛び込み営業はまったく苦ではありませんでした。みんなが嫌がることを誰よりもできて、結果、業績をかなり上げることができました。
そうしているうちに、たくさんの美容室オーナーさんと関係を深めていき、そこで働くマネージャーや幹部の人たちともコミュニケーションを取る機会が増えていきました。
そこで見たものは、不毛なコミュニケーションの数々でした。人が辞めるときに無駄に足を引っ張ってしまうオーナーさん。オーナーのことを陰で悪く言う人が出て、組織がぐちゃぐちゃになってしまっている会社。いろんな問題がありました。
その問題はどこにあるのか。リクルートで働いているあいだ、私はずっと考えていました。
そして、1つの答えにたどり着きました。マッチングです。会社が求めているものと、そこで働く人が求めているものがミスマッチしているから、変なトラブルが次々と起こる。そのミスマッチをなくしていけば、現場で頑張っている美容師さんたちはもっと輝くし、オーナーさんたちはもっと肩の荷が下りるのではないか、と感じました。
オーナーは、1人のスタッフが辞めることにかなり神経質になっている印象でした。でもそれは、1人採用することがものすごく難しいからそうなってしまうのだと思っています。
だから、採用がちゃんとできている状態さえつくることができれば、人が辞めるときにも背中を押して送り出すことができるのではないか。そういう組織をつくれば、オーナーも幹部もスタッフも、心地いい環境が生まれるのではないか。私はそう思ったのです。
2020年、創業
当時、教育に力を入れるサロンで技術を身につけても、思うように稼げないという理由で、業務委託のサロンへ移る美容師さんがたくさんいました。
低単価の業務委託サロンに移れば、ある程度の収入は得られる。でも、そこからさらに収入を上げようとすると、今度は単価を上げる必要がある。その壁を越えられずにいる美容師さんを、私はたくさん見てきました。
だからこそ、美容師がちゃんとステップアップできる組織をつくりたい。その思いで、2020年2月に創業したのが INCE HAIR です。「自立した美容師を創る」という理念は、ここから生まれました。
ところが、創業からわずか2か月後、新型コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言が出されました。創業して3か月で、私たちは廃業の危機を経験することになったのです。
それでも、そこから立て直すことができました。創業1年目に2店舗、2年目には3店舗を出店し、店舗展開を進めていきました。
当時の状況や立て直しの過程は、noteに記録しています。
組織の危機と、ブランドオーナー制度の原点
創業して3年ほどが経ち、店舗数が10店舗近くになったころ、会社はだんだんと崩れ始めていました。
理由は、組織をつくれていなかったことです。私が一人で突っ走り、3か月に1店舗ほどのペースで次々と出店していく。その一方で、初期に出店した店舗のスタッフとの距離は、どんどん開いていきました。
気がつけば、スタッフの心が自分から離れていくのを感じていました。創業当時はあんなに仲良くしていたのに、回り回って、私のことを悪く言っている声が耳に入ることも増えていったのです。私は、すごく悩みました。
そのときに相談し、助けてもらったのが、ageless(エイジレス)の責任者である岩淺でした。彼は、新卒で入った会社の同期です。
ageless は、私たちが3店舗目として出店したサロンです。私がつくっていた INCE HAIR とは別の軸で、岩淺が自分のブランドを私の会社の中で立ち上げ、育てていました。私が INCE HAIR を、彼が ageless をつくる。そんな2人の体制をとっていたのです。
その岩淺に、INCE HAIR の立て直しと、会社全体の組織の立て直しを一緒に担ってもらいました。そこから、会社はどんどん変わっていきました。
次のキャリアをつくり、ともに豊かになる
そこから、岩淺のマネジメント講習を社内に取り入れ、1店舗ずつ、少しずつ改善を重ねていきました。
「美容師として頑張っているけれど、どう頑張っていいのか分からない」。そんなスタッフたちの次のキャリアをつくること。それは、もともと私が理想としていたことでした。その理想が、少しずつ形になってきたのです。
社内で独立していくスタッフが増え、気がつけば、グループの法人数は7つになりました。その多くで、もともとテネクションのスタッフだったメンバーが社長になっています。独立をきっかけに会社を分け、新しい経営者が生まれていく。この流れを、これからさらに加速させていきたいと思っています。
テネクションは、頑張っている美容師、挑戦したい美容師が、ちゃんと夢を実現できる組織でありたいと思っています。
私は、組織を「2対6対2」という視点で捉えています。リーダーや経営者は、真ん中の「6」にあたるメンバーがいてくれるからこそ成り立つ。そう考えています。
だから、一生懸命頑張るメンバーには挑戦の機会をつくる。同時に、仕事が人生の最優先ではないメンバーも、一緒に豊かになれる環境をつくる。一人ひとりが大切にしているものを尊重しながら、ともに豊かになれる組織を目指しています。
その土台にあるのは、一人ひとりのお客様を大切にすることです。来店してくださったお客様に満足していただけるスタッフを育てる。私たちは、その当たり前のことに愚直に取り組んでいます。
あなたの夢を、仲間とともに。
私たちは、夢や希望を持つ美容師の、その夢を具体的に形にしていく組織であり続けたいと思っています。本気で叶えたいと思うなら、夢は必ず実現する。私は、そう信じています。
でも、どうすればいいのか、何から始めればいいのか分からない。そんな美容師の皆さんは、ぜひテネクショングループの門を叩いてみてください。
グループには、さまざまなブランドがあります。どのブランドに入っても、その先へステップアップする道はテネクション本体が用意しています。まずは、あなたに合ったブランドを選んでください。
そして、「テネクションの中で独立したい」と声を上げてください。私たちは、あなたを必ず引き上げます。
私が思い描いているのは、100人の社長に囲まれる未来です。一人ひとりの挑戦から新しい会社が生まれ、その社長たちとともに歩んでいく。テネクショングループを、そんな組織にしていきます。
一人で挑戦するのは怖い。そう感じるあなたにも、ここには同じ志を持った仲間がいます。あなたの夢を、このグループで一緒に形にしていきませんか。
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